ゼミ活動





泉ゼミでは鍼灸学科の学生の希望者に対してアスレティックトレーニングだけでなくスポーツ・・健康・鍼灸をキーワードとした卒業研究をサポートしています

泉ゼミと卒業研究

泉ゼミ 4期生:「難しいかもしれないけれど」スポーツトレーナーを目指す私の夢 荒井萌さん

活躍するゼミ生達

泉ゼミ・ゼミ生と卒論トピック

2020年

山田彩愛さん:Jリーグにおける各チームに在籍しているメディカルスタッフについての調査

飯島秀也さん:投球障害を持つ野球選手の身体的特徴についてのシステマチックレビュー

2019年

野村 貴大 さん:運動部に所属している高校生における鍼治療の実態について

佐藤樹奈 さん:東京都内で美容鍼灸を行っている鍼灸院についての調査

舟山友梨さん:地域別の鍼灸院数の調査

2018年

大野章宏さん:「サッカーを行っている中学生におけるはり治療について」(アンケート)

2017年

青山 尚樹さん:「ケガをしたマラソン大会参加者の特徴についての調査」(オンランラインアンケート)

土屋向日葵さん:「米国大学院アスレティックトレーニング教育プログラムへの留学の為の最低条件に関する調査」(調査)

2016年

神山 弥仁さん:「野球を行っている中学生におけるはり治療について」( アンケート)

清水梨沙さん:「スポーツ障害に用いられるインソールの種類についてのシステマティックレビュー」(文献研究)

2015年 :

牧野和美さん:「全身関節弛緩性とスポーツ傷害との関係性のシステマティックレビュー」(文献研究)

荒井萌さん:「16歳以上のバレエ経験者における鍼灸利用の現状と認知について」(オンラインアンケート)

2014年

高柳亜実さん:「アマチュアアメリカンフットボールチームの試合中に起きる筋痙攣発生の誘因について」(調査)

大栄翔吾さん「投球障害肩の予防に対するシステマティックレビュー」(オンラインアンケート)

渡辺海さん:「耳穴刺激による指床間距離(FFD)への影響について」(介入研究)

2013年

神谷智恵美さん:「腰痛に対する体幹のトレーニング法のシステマティックレビュー」(文献研究)

青山慶さん:「足関節周囲の障害に対する鍼治療のシステマティックレビュー」(文献研究)

2012年

斎藤大樹さん:「鍼灸治療の満足度に影響を与える要因の評価のシステマティックレビュー」(文献研究)


青山尚樹君の行った卒業研究

ケガをしたマラソン大会参加者の特徴についての調査

背景

近年、ランニング人口は増加傾向にあるが、ランニングによるマラソン愛好家のケガや故障が後を絶たない。(Walter SDら1989)マラソン愛好家がどのようなケガをしているかという研究は存在する。(今井ら2010)しかし、どのようなマラソン愛好家がケガをしやすいかという研究はなされていない。

目的

マラソン大会に向けての練習でケガをした市民ランニングクラブに所属するマラソン愛好家の特徴について明らかにすることを目的とする

方法

・対象者:市民ランニングクラブチームに所属するマラソン愛好家467名

・調査方法:ウェブ上のアンケートサイトを用いたアンケート調査

・実施期間:平成29年4月14日~4月30日の2週間

・分析方法:各項目の記述統計とカイ二乗検定(α>.05)

調査項目

【調査項目】

1. 参加したことのあるマラソン大会の種別

2. 性別

3. 年齢

4. ランニング歴

5. 月間走行距離

6. フルマラソン経験者のフルマラソンベストタイム

7. マラソン大会に向けての練習におけるケガ(腰痛、膝痛、腸脛靭帯炎、シンスプリント、アキレス腱炎、足首痛、腓骨筋炎、足底筋膜炎など)の有無

8. ケガの時期

9. 練習量(距離)の変化

10. 負荷量(スピード)の変化

11. ケア(ストレッチ、マッサージ、治療など)の頻度の変化

12. 練習頻度(練習回数)の変化

結果

・回答者数:173名(37%)/463名中

・性別:男性129名(75%)/女性44名(25%)

・年齢:平均47.5歳±8.7歳

ケガをした愛好家の特徴

【ケガをした愛好家の特徴】

・「マラソン大会に向けての練習におけるケガの有無」の質問において、ケガをしたことが「ある」と答えた149名には、以下の回答も依頼した。

1)ケガの時期、2)練習量(距離)の変化、3)負荷量(スピード)の変化、4)ケア(ストレッチ、マッサージ、治療など)の頻度の変化、5)練習頻度(練習回数)の変化

ケガをした愛好家の特徴

ケガの有無との関係性

性別,年齢,ランニング歴,おおよその月間走行距離,フルマラソンベストタイムについては問7においてケガをしたと答えた人と、ケガをしなかったと答えた人の間において統計的な有意差は見られなかった。

ケガをしたことのある人における練習量・負荷量の変化

「ケガをしたことがある」と答えた人の練習量と負荷量の変化についての関係について検証したところ、有意差が見られた。(P<.0001)

その中でも、練習量を増やし、負荷量も上げている人の割合が最も高かった。

結果のまとめ

1. マラソン大会参加者の86%(149人/173人)が大会に向けての練習でケガをしたことがあると回答した

2. 1においてケガをしたことがあると回答したランナーのうち、59%(88人/149人)が大会29日以前にケガをしていた

3. 練習量の変化と負荷量の変化においては有意差があった

考察

1. マラソン大会参加者の86%が大会に向けての練習でケガをしたことがあると回答した

2. ケガをしたランナーの59%(88人)が大会29日以前にケガをしていた

ケガをした人の多くが大会29日以前にケガをしていたことから、大会直前よりも大会1ヶ月以上前の練習において注意する必要があることが示唆された。

3. 練習量の変化と負荷量の変化においては有意差があった

・本研究においては大会に向けての練習でケガをした人の半数以上が練習量を落とさず、負荷量を上げていた

・マラソン大会時にパフォーマンスを最大限に発揮するための準備として、大会前に負荷量は落とさずに練習量を減らすことが推奨されている(ピート・フィッツィンジャーら)

・これらのことから、本研究ではケガをした人の多くがこの推奨を守っていないことが明らかになった

研究の限界点

・ケガを発症しなかった参加者の大会前の練習についてのデータを取得しておらず、ケガを発症した参加者との比較を行うことが出来なかった

・そのためどのような練習方法がケガの発生に関与したかについては検討することが出来なかった

今後の研究で非受傷者との比較研究を行うことで、マラソン愛好家のケガ予防にさらに貢献することが出来ると考えられる

結語

1. マラソンを楽しむ人のほとんどがケガをしていることが明らかになった

2. ケガをした人の特徴として、大会前に練習量を維持、もしくは増やし、負荷量を上げた人が多かった

3. ケガの時期では大会29日以前にケガをしている愛好家の割合が最も高かった

4. マラソン大会前に負荷量は落とさずに練習量を減らすことが推奨されていることから、受傷の予防にはこれらのことを守る必要があることが示唆された。

研究にご協力いただきました皆様ご協力ありがとうございました。

青山尚樹 (泉セミ6期生)

泉秀幸 (指導教員)